
予定日が近づくにつれて「いつお産が始まるかな?」と、楽しみな反面ソワソワ落ち着かない気持ちになる方も多いのではないでしょうか。
お産の始まり方は十人十色で、教科書通りに進むとは限りません。しかし、身体は着実に出産の準備を進めており、いくつかのサインを発信しています。 この記事では、出産が近づいていることを知らせる身体の変化や、いよいよお産が始まる決定的なサイン、そして入院のタイミングについて詳しく解説します。心の準備を整えて、その時をリラックスして迎えましょう。
目次
- ○ もうすぐ出産!お産が近づいている5つの兆候(前兆)
- ・お腹が下がる・胃の圧迫感が減る
- ・頻尿・尿漏れが増える
- ・胎動の変化(動きが鈍くなる?感じる場所が変わる?)
- ・おりものの変化(量が増える・粘り気)
- ・腰痛や股関節痛(恥骨痛)の強まり
- ○ いよいよお産開始?代表的な「3大兆候」と特徴
- ・おしるし(血の混じったおりもの)
- ・前期破水(パチンという音・水が流れる感覚)
- ・陣痛(規則的なお腹の張り・痛み)
- ○ 出産前の兆候から分娩までの主な流れ
- ・出産前の兆候
- ・お産が始まるサイン
- ・本陣痛(分娩第1期)
- ・出産(分娩第2期)
- ○ 病院へ連絡・向かうタイミングはいつ?
- ・初産婦さんと経産婦さんの目安の違い
- ・こんな時はすぐに連絡を!(大量出血・激痛・胎動減少)
- ・病院への移動手段(タクシー・自家用車)の確認
- ○ お産の兆候を感じたらやっておくことリスト
- ・入院バッグ・必要書類の最終確認
- ・食事・入浴・睡眠(リラックス)の重要性
- ・家族やパートナーへの連絡共有
- ○ まとめ
もうすぐ出産!お産が近づいている5つの兆候(前兆)
臨月に入り、出産予定日が近づくと、赤ちゃんもママの身体も「外の世界に出る準備」を本格化させます。
これらは医学的には「分娩の前徴(ぜんちょう)」とも呼ばれ、ホルモンバランスの変化や赤ちゃんの位置の変化によって起こります。すべての症状が全員に現れるわけではありませんが、身体の変化をこれまで以上に意識して過ごしましょう。
お腹が下がる・胃の圧迫感が減る
今までみぞおちの辺りまであった子宮の膨らみが、下の方へと下がってくる感覚があります。
これは、赤ちゃんが骨盤の中に頭を入れ、生まれてくる位置へと降りてくるために起こる変化です。
これまで胃が圧迫されて「少し食べると苦しい」「胸焼けがする」といった症状に悩まされていた方は、胃への圧迫が解消され、すっと楽になることがあります。「食欲が急に戻った」と感じる方も多いですが、体重の急増には注意しながら食事を楽しみましょう。
一方で、お腹が下がることで足の付け根への圧迫感は増す傾向にあります。
頻尿・尿漏れが増える
赤ちゃんが骨盤内へと下がってくることで、子宮のすぐ近くにある膀胱が物理的に圧迫されます。その結果、膀胱に尿を溜められる容量が減り、トイレに行く回数が急増したり、くしゃみや咳などのふとした拍子に尿漏れしやすくなったりします。
夜中に何度もトイレに起きることで睡眠不足になりがちですが、これは「産後の頻回授乳に備えて、身体が短時間睡眠に慣れようとしている」とも言われています。水分を控えるのではなく、こまめにトイレに行くようにし、尿漏れパッドなども活用して過ごしましょう。
胎動の変化(動きが鈍くなる?感じる場所が変わる?)
「お産が近づくと胎動がなくなる」という噂がありますが、これは間違いです。
赤ちゃんは生まれる直前まで動いています。ただ、頭が骨盤内に固定され、身体も大きくなって子宮内のスペースが狭くなるため、動き方に変化が現れます。
これまでのダイナミックなキックやパンチのような動きから、身体をよじらせるような「モニョモニョ」「グニョ」といった動きに変わることが多く、「動きが鈍くなった」と感じるママもいます。
もし胎動を全く感じない、極端に減ったという場合は、赤ちゃんにトラブルが起きている可能性もあるため、直ちに病院へ連絡してください。
おりものの変化(量が増える・粘り気)
出産が近づくと、赤ちゃんがスムーズに産道を通れるように、産道や子宮口が柔らかく変化し始めます。これに伴い、ホルモンの影響でおりものの量が増える傾向にあります。
普段のおりものよりも粘り気が強くなり、ゼリー状のような状態になることもあれば、水っぽくなることもあります。色は透明や乳白色、クリーム色が一般的です。これは産道の滑りを良くし、細菌の侵入を防ぐ役割も果たしています。清潔を保つために、おりものシートをこまめに交換するなどして対処しましょう。
腰痛や股関節痛(恥骨痛)の強まり
出産に向けて、赤ちゃんが通る道(産道)を広げるために「リラキシン」というホルモンが分泌され、骨盤周りの関節や靭帯が緩んできます。これにより、骨盤の結合部分である恥骨や、股関節に痛みを感じやすくなります。
また、大きくなったお腹を支えるために腰への負担もピークに達し、腰痛が悪化することもあります。生理痛のような重だるい痛みを腰やお尻周りに感じる場合、それは「前駆陣痛」の一種である可能性もあります。
無理をせず、骨盤ベルトを活用したり、楽な姿勢を見つけて休息をとるようにしてください。
いよいよお産開始?代表的な「3大兆候」と特徴
「前兆」から一歩進んで、いよいよお産がスタートする時に見られる代表的なサインが3つあります。「おしるし」「破水」「陣痛」です。これらはどの順番で来るか分からず、3つ全てがあるとも限りません。それぞれの特徴を正しく理解し、焦らず行動できるようにしておきましょう。
おしるし(血の混じったおりもの)
子宮口が開き始めるときに、赤ちゃんを包んでいる膜(卵膜)が子宮壁から少し剥がれることで起こる少量の出血です。これとおりものが混ざったものが「おしるし」です。
色はピンク色、赤色、茶褐色など個人差があり、量も下着に少しつく程度から、生理の始まりくらいの量まで様々です。おしるしがあったからといって、すぐに生まれるわけではありません。当日〜数日以内に陣痛が来ることが多いですが、1週間以上空くこともあります。
痛みや大量出血を伴わなければ、ナプキンをあてて普段どおりに過ごし、陣痛を待ちましょう。
前期破水(パチンという音・水が流れる感覚)
陣痛が始まる前に、赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れ、羊水が外に流れ出ることを「前期破水」と言います。「パチン」という弾けるような音や衝撃を感じる人もいれば、気付かないうちにチョロチョロと水が出る人もいます。
自分の意思で止めることができず、アンモニア臭(尿の臭い)がしないのが特徴です。破水をすると、赤ちゃんへの細菌感染のリスクが高まります。
たとえ微量であっても、破水の疑いがある場合は絶対に入浴やシャワーはせず、清潔なナプキンをあてて、すぐに病院へ連絡してください。
陣痛(規則的なお腹の張り・痛み)
お産の最も確実なサインです。子宮が収縮を繰り返すことで、赤ちゃんを外へ押し出そうとする痛みです。最初は不規則な「前駆陣痛」から始まることが多いですが、痛みの間隔が規則的になり、その間隔が徐々に短く、痛みが強くなっていくのが「本陣痛」の特徴です。
お腹がカチカチに硬くなり、波のように痛みが押し寄せ、痛みが引くと嘘のように楽になるというサイクルを繰り返します。痛みの間隔が10分(施設によっては初産婦10分、経産婦15分など)を切ったら、分娩開始の合図として病院へ連絡します。
出産前の兆候から分娩までの主な流れ
お産の始まり方は人それぞれですが、一般的な進行プロセスを知っておくことで、今自分がどの段階にいるのかをイメージしやすくなります。ここでは、身体の変化から赤ちゃん誕生までの大きな流れを整理します。
出産前の兆候
前述したように、お腹が下がる、恥骨が痛む、おりものが増えるといった「前兆」が現れます。これは身体が出産モードへ切り替わっている準備段階です。この時期には不規則なお腹の張り(前駆陣痛)を感じることが増えますが、これは子宮の準備運動のようなものです。
痛みを感じても、間隔がバラバラで、安静にしていると治まるようであれば、まだリラックスして自宅で過ごす時期です。
お産が始まるサイン
「規則的な陣痛が10分間隔になる」「破水する」「陣痛とともにおしるしがある」といったサインが現れるといよいよお産の開始です。この段階で病院へ連絡し、入院となります。子宮口はまだ固く閉じていたり、数センチ開いている程度です。ここから長い時間をかけて、赤ちゃんが通れるように子宮口を全開大(約10cm)まで広げていきます。
本陣痛(分娩第1期)
分娩開始から子宮口が全開大になるまでの期間を「分娩第1期」と呼び、お産全体の中で最も時間がかかるプロセスです。陣痛の間隔は徐々に短くなり、痛みも強さを増していきます。 最初は生理痛のような痛みですが、進行すると腰やお尻への圧迫感が強まります。
ママは呼吸法を使って痛みを逃し、リラックスを心がけることが大切です。助産師さんのサポートを受けながら、赤ちゃんが降りてくるのを待ちます。
出産(分娩第2期)
子宮口が全開大(10cm)になり、破水(まだしていなければ)を経て、赤ちゃんが産道を通り外に出てくるまでの期間です。陣痛に合わせて「いきみ」を入れることで、赤ちゃんを押し出します。赤ちゃんの頭が見え隠れする「排臨(はいりん)」、頭が常に出ている「発露(はつろ)」を経て、全身が誕生します。
この瞬間、激しい痛みから解放され、赤ちゃんと対面する感動の瞬間が訪れます。
病院へ連絡・向かうタイミングはいつ?
「いつ病院に電話すればいいの?」というのは、多くの妊婦さんが抱く疑問です。早すぎても自宅待機になったり、遅すぎると車内出産の危険があったりするため、適切なタイミングを知っておくことが重要です。
初産婦さんと経産婦さんの目安の違い
一般的に、お産の進み具合は初産婦さんと経産婦(出産経験のある方)で大きく異なります。
初産婦さん: 陣痛の間隔が「10分」を切って、規則的になった時が連絡の目安です。初めてのお産は時間がかかることが多いため、慌てる必要はありません。
経産婦さん: 産道が一度開いているため、お産が急速に進むことがあります。陣痛間隔が「15分〜10分」になった時、あるいは「腰に痛みを感じたら」「規則的かな?と思ったら」早めに連絡するように指導されることが多いです。
※病院までの距離によっても目安は変わるため、事前の健診で医師に確認しておきましょう。
こんな時はすぐに連絡を!(大量出血・激痛・胎動減少)
陣痛の間隔に関わらず、母子の命に関わる緊急事態の可能性があります。以下の症状がある場合は、迷わず直ちに産院へ連絡してください。
・大量の出血: 生理の多い日以上の出血や、レバー状の塊が出る場合(常位胎盤早期剥離などの恐れ)。
・激しい腹痛: 陣痛の波がなく、ずっと激痛が続く場合。
・胎動の減少: 急に胎動を感じなくなった、極端に弱くなった場合。
・破水した場合: 感染予防のため、陣痛がなくても即入院が必要です。
病院への移動手段(タクシー・自家用車)の確認
いざ陣痛や破水が起きた時、自分で車を運転して病院へ向かうのは絶対にNGです。激しい痛みが突然襲ってくる可能性があり、大変危険です。
基本的には、家族に運転してもらうか、タクシーを利用します。事前に「陣痛タクシー(マタニティタクシー)」に登録しておくと、破水時に備えた防水シートの準備があったり、道案内なしで産院へ直行してくれたりと安心です。自家用車の場合も、破水に備えてバスタオルやレジャーシートを座席に敷けるよう準備しておきましょう。
お産の兆候を感じたらやっておくことリスト
「もしかして、お産が始まったかも?」と感じたら、まずは深呼吸をして落ち着きましょう。病院へ向かうまでの間に、自宅でやっておくと良いことがいくつかあります。最後の準備を整えるためのチェックリストです。
入院バッグ・必要書類の最終確認
いつ入院になっても良いように、入院バッグ(陣痛バッグ)を玄関など分かりやすい場所に用意します
。特に重要なのが「母子健康手帳」「健康保険証」「診察券」「印鑑」などの書類関係です。これらは受付ですぐに必要になるため、バッグの奥底ではなく、すぐ取り出せるポーチなどにまとめておきましょう。 また、コンタクトレンズを使用している方は眼鏡に替える、指輪やアクセサリー類を外しておくことも忘れずに行いましょう。
食事・入浴・睡眠(リラックス)の重要性
破水をしておらず、陣痛がまだ我慢できる程度であれば、体力を温存することが最優先です。
お産は長丁場の体力勝負です。消化の良いものを少しでも食べてエネルギーを補給し、眠れるようなら仮眠を取りましょう。入浴もリラックス効果があり、身体を温めることでお産の進行を助けます(※破水している場合は入浴厳禁)。「まだ動けるから」と家事を頑張りすぎず、身体を休めることに集中してください。
家族やパートナーへの連絡共有
パートナーや実家の家族などへ状況を連絡しましょう。
「今はまだ15分間隔だけど、様子を見ている」「これから病院に電話する」など、こまめに状況を共有することで周囲もサポートしやすくなります。 また、上の子がいる場合は預け先の最終確認や、ペットがいる場合はお世話の手配など、自分が不在になる間の環境を整えておくと、安心してお産に臨めます。
まとめ
お産の始まりには、おしるしから始まる人もいれば、いきなり破水する人、微弱な陣痛から徐々に強まる人など、本当に個人差があります。「本に書いてある通りにいかない」と焦る必要はありません。大切なのは、自分の身体の変化を冷静に観察し、不安があればすぐに病院へ相談することです。
もうすぐ赤ちゃんに会える、人生で最も特別な瞬間が訪れます。準備はこれまで十分にしてきたはずです。あとは赤ちゃんのタイミングを信じて、リラックスしてその時を待ちましょう。







